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日本企業での「暗黙のルール」とは?外国人社員が直面する課題と対応策

日本企業での「暗黙のルール」とは?外国人社員が直面する課題と対応策

私は日本語教師として、日本で働く外国人のための日本語教育やビジネスマナー研修を行ってきました。その中で、外国人社員が日本企業において戸惑う大きな要因のひとつが「暗黙のルール」だと日々感じています。日本企業には独自のビジネス文化や職場の慣習が根付いており、これらは明文化されていないため、外国人社員にとって理解しにくく、時には適応の壁となることがあります。こうした課題に対応するためには、企業側が外国人社員をサポートし、スムーズに職場に適応できるような体制を整えることが重要です。以下では、私が研修を通じて感じている代表的な「暗黙のルール」と、その対応策について解説します。

暗黙のルール4つの具体例と対策

 (1) 報連相(ほうれんそう)の徹底

日本企業では「報告・連絡・相談」を重視する文化があります。個人の裁量で行動するよりも、進捗や問題が発生した際には上司や関係者にこまめに伝えることが求められます。

対応策
外国人社員には、「どのタイミングで」「誰に」「どのように」報連相を行うべきかを具体的に指導するのが効果的です。特に「問題が発生したとき」や「顧客からのクレームを受けたとき」などの重要な場面については、ロールプレイや具体例を交えて説明すると理解しやすくなります。

 (2) 上下関係の意識

日本企業では、年齢や役職が重視される傾向が強く、目上の人に対する言葉遣いや態度には特に配慮が必要です。

対応策
外国人社員には、敬語の基本や、意見を述べる際の「クッション言葉」の使い方を教えるとよいでしょう。 
 さらに、「意見がある場合は○○さんにまず相談する」といった具体的な行動指針を提示すると安心して行動できるようになります。

(3) 「空気を読む」文化

日本の職場では、明確な指示がない場合でも「自ら状況を察して行動する」ことが評価されることがあります。

対応策 
外国人社員にとって「空気を読む」という感覚は難しいため、「こういう場面ではどう動けば良いのか」を具体的に伝えましょう。 
「上司が考え込んでいるときは話しかけない」「困っている人がいたら『何かお手伝いできますか?』と声をかける」など、具体例を挙げると実践しやすくなります。

 (4) 飲み会・ランチへの参加

日本では、業務時間外の飲み会やランチが「職場の人間関係を築く場」として重要視されることがあります。

対応策 
飲み会の文化やマナーについて事前に伝えておくと、外国人社員が戸惑わずに参加できます。 
飲み会の強制参加は避けつつ、「交流の場としての意義」を説明することで参加のハードルが下がるでしょう。

 まとめ

日本企業に根付く「暗黙のルール」は、外国人社員にとって理解しにくく、大きな壁となることがあります。しかし、採用担当者が具体的なルールを明示し、適切なサポート体制を整えたことで、実際に外国人社員の適応がスムーズになったという事例も数多く報告されています。例えば、上司への報告のタイミングや敬語の使い方を具体的に指導した結果、コミュニケーションの誤解が減り、業務がスムーズに進むようになったケースがあります。 

さらに、外国人社員の行動が「マナー違反」や「失礼」だと受け取られてしまう場面でも、実はそれが日本の独自の「暗黙のルール」に基づいていることが少なくありません。例えば、外国人社員が上司に対してあまりにカジュアルな言葉を使ったり、指示を受ける前に自分の判断で動いたりすることで「不適切」と見なされることがあります。しかし、これらは単に文化や習慣の違いから生じた誤解であり、具体的なルールや背景を理解してもらうことで解消できることが多いのです。 

こうした誤解を防ぎ、外国人社員が安心して力を発揮できる職場をつくるためには、企業全体が「違いを受け入れ、理解する姿勢」を持つことが重要です。文化の違いを理解し、必要に応じて補助や指導を行うことで、外国人社員が持つスキルや視点が企業の成長に貢献するケースも増えています。 文化の違いをポジティブにとらえる風土づくりもまた、企業に新しい視点を与え、文化の違いを企業の強みに変えることができるでしょう。

株式会社TCJグローバルでは、即戦力となる外国人材の育成に力を入れています。 
日本語教育やビジネスマナー研修を提供し、外国人社員がスムーズに職場に適応できるようサポートします。さらに、日本人社員向けの異文化理解研修を実施し、外国人労働者を円滑に受け入れるための社内体制づくりを支援しています。 

また、企業様のニーズに応じた人材紹介を行い、外国人社員の定着と活躍を幅広くサポートします。 外国人材の採用や定着に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

著者紹介:平良 園佳(日本語教師)
日本で活躍する外国人向けに、初級からビジネス日本語まで対応したレッスンを通じて、実践的な日本語スキル習得をサポートしている。

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部