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外国人社員が「日本語習得のために必要な時間数」とは

外国人社員が「日本語習得のために必要な時間数」とは

外国人社員が日々増える中、その日本語能力について悩む人事担当者も少なくないことでしょう。社内外のコミュニケーションに不可欠な日本語能力。理想とする日本語能力を外国人社員が習得するためには、果たしてどのぐらいの時間が必要なのでしょうか。この記事では、ビジネスに必要な日本語のレベルを整理した上で、日本語習得のために必要な時間数を具体的にご紹介します。

ビジネスで求められる日本語のレベル

ビジネスで求められる日本語のレベルと一口に言っても、業界や職種によって大きく異なります。まずは日本語能力試験(JLPT)のN4, N3, N2レベルを参考に大まかなレベルを把握しましょう。

[N4レベル]

・日本語の使用場面が限られる製造業やITエンジニアなど

日常生活の基本的な日本語を理解し使うことができるレベルです。上司からの簡単な指示を理解したり、同僚と簡単な会話を交わす程度であれば、N4レベルの日本語能力でもおおよそ対応可能です。

[N3レベル]

・オフィス業務、一般的な接客業務、介護など

日常生活で使う基本的な日本語に加え、もう少し長い文章や会話にも対応できるレベルです。社内における会議やメールのやり取りは、複雑でなければある程度理解できます。ビジネスにおいては、 N3レベルが最低限求められる日本語力とも言えるでしょう。

※技能実習における「介護」職種の日本語能力要件は別途ご確認ください。

https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/care.html

[N2レベル]

・営業職など

日常的なコミュニケーションには問題がなく、ビジネス文書なども複雑でなければ読解できるレベルです。簡単な議論や意見交換にも対応できます。日本で働きたいと考える外国人は、N2合格を目指して学習しているケースが多いです。

ただし、いずれのレベルでも、ビジネス用語の理解やビジネスに必要な読み書きスキルの有無は、JLPTだけでは測れないので人事担当者は注意が必要です。
参考▶JLPTだけでは測れない日本語力の見極め方

日本語習得までの時間と期間

それでは目指す日本語レベルに到達するためには、具体的にどれくらいの学習時間が必要なのでしょうか。

レベル必要時間(目安)1日1時間学習した場合の期間
N5約150時間約5ヶ月
N4約300~400時間約10ヶ月~1年
N3約450~600時間約1年~1年半
N2約600~800時間約1年半~2年
N1約900~1,200時間約2年半~3年

参照)https://bn.tcj-education.com/ja/guide-for-studying-in-japan/

ご覧いただいての通り、1日1時間、休みなく毎日学習したとしても、日本語の習得にはかなり期間がかかることがおわかりいただけるかと思います。

さらに、話したり書いたりする能力や、敬語の使用やメール文書作成といったビジネス日本語能力を伸ばすには、上記のほかにプラスで時間が必要となります。また、個人差による影響も念頭に置く必要があるでしょう。

外国人社員の日本語力アップのために、人事ができること

著者は人事として、外国人採用・教育の経験があり、現在は日本語教師として、日本で働く外国人向けに日本語の授業を提供しているのですが、多くの学習者から「日本に来たのはいいけれど、思っていた以上に日本語力が伸びずに苦労している」といった声を耳にします。

実際、外国人社員が日本に来ると、業務の習得や新たな人間関係の構築に忙しく、学習に十分な時間を割く余裕がないのが現実のようです。そういった状況で、日本語力を向上させるためには、企業のサポートが不可欠ではないでしょうか。

社内での日本語研修

社内に日本語教育に精通したスタッフがいればそのスタッフが、いなければ外部のビジネス日本語が指導できる教師を招き、定期的に日本語の研修を行うことが、外国人社員の日本語力向上に大いに役立ちます。特に職種を問わず求められる、敬語の使用、ビジネスメールの作成、上司への報告などを題材として扱うのが有益です。

社外でのマンツーマンレッスン

ビジネス日本語に精通した教師であれば、一人一人の課題点を理解した上で、業務に必要となる具体的な日本語力を伸ばすことができます。また現場では、業務遂行に問題がなければ、多少、外国人社員の日本語が間違えていても指摘しない、というのはよくあることです。日本語能力の伸び悩みにはプロの教師による指導は効果覿面です。

まとめ

外国人社員が日本語を習得するには相当な時間と努力が必要ですが、企業としてのサポートを通じて、その学習を加速させることができます。積極的な支援があれば、外国人社員の日本語力は確実に向上し、それが社内外のコミュニケーションの円滑化に繋がることでしょう。

株式会社TCJグローバルでは、即戦力となる外国人材の育成に力を入れています。日本語教育やビジネスマナー研修を提供し、外国人社員がスムーズに職場に適応できるようサポートします。さらに、日本人社員向けの異文化理解研修を実施し、外国人労働者を円滑に受け入れるための社内体制づくりを支援しています。また、企業様のニーズに応じた人材紹介を行い、外国人社員の定着と活躍を幅広くサポートします。外国人材の採用や定着に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

著者紹介:福田 祥子(日本語教師・ライター)
大手教育系企業で英語講師養成トレーナーとしてキャリアをスタートし、その後広報職に転身。企業内ライターとして新聞コラムや書籍等の執筆を担当。語学好きが高じ、2020年より日本語教師として活動を開始。2022年のスペイン移住後は現地の日本語学校で教鞭を執るほか、TCJプライベート講師や日本語試験問題作成員、執筆業に従事。日本語教師養成講座420時間修了、日本語教育能力検定試験合格。

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部