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外国人材に伝わる!「やさしい日本語」でのコミュニケーション術

外国人材に伝わる!「やさしい日本語」でのコミュニケーション術

日本の労働市場では、外国人労働者の重要性が急速に高まっています。しかし、多くの企業が外国人材の定着に課題を抱えています。この定着に大きく影響を与えるのが、コミュニケーションの問題です。

外国人労働者とのコミュニケーションを円滑に進めるためには、受け入れ側が「やさしい日本語」を理解し、活用することが重要です。本記事では、「やさしい日本語」とは何か、その概念と実践方法について解説します。

外国人雇用状況とやさしい日本語の重要性

外国人労働者数の増加

日本の外国人労働者数は急速に増加しています。2023年10月末時点で204万8675人に達し、過去最高を更新しました。この数字は、外国人雇用状況の届け出制度が義務化された2007年以降初めて200万人を突破したことを示しています。現在のペースが続く場合、2030年には約270万人に達すると予測されています。

特に製造業、介護業界、建設業、サービス業などの分野で外国人労働者が活躍しており、この傾向は日本の労働力不足を補うため今後も続くと考えられています。

外国人労働者推移

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001195787.pdf

外国人労働者の国籍と公用語

外国人労働者の国籍別では、ベトナム人労働者が約51.8万人で全体の25.3%を占め最多となっています。続いて中国が約39.7万人(19.4%)、フィリピンが約22.6万人(11.1%)となっています。10位までの各国籍の公用語は10カ国それぞれ異なります。

そのため多様化する社会の変化を受け、多言語での翻訳を行う以外に「やさしい日本語」の重要性が増しています。

外国人労働者の定着率

外国人労働者の定着率は職場環境や支援体制によって大きく左右されます。しかし、日本人労働者と比較すると定着率が低い傾向にあり、厚生労働省の統計では離職率が45.9%に達しています。

この定着率の低さに対する一つの解決方法として、「やさしい日本語」を活用したコミュニケーションが有効とされています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/houdou/0112/h1225-2d.html

やさしい日本語とそのメリット

やさしい日本語の歴史

「やさしい日本語」は1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに生まれました。この震災では、日本語が十分に理解できない外国人が情報不足により被害を受けたことから、外国人にも伝わる情報伝達手段として開発されました。

その後、新潟県中越地震(2004年)や東日本大震災(2011年)などを経て、災害時のみならず、平時のコミュニケーション手段としても注目されるようになりました。現在では、外国人観光客との対応や地域社会での交流促進にも利用されています。

やさしい日本語を活用するメリット

「やさしい日本語」を職場で活用することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 業務指示や規則の理解度向上
  • コミュニケーションの円滑化
  • 外国人労働者の職場定着率の向上

これにより、労働者と企業双方にとって効果的な職場環境の構築が可能となります

具体的に「やさしい日本語」とは、どのようなものかを例を交えながら解説します。
「やさしい日本語」とは、難しい言葉や専門的な表現を避け、誰でも理解しやすい言葉で伝える日本語です。

「やさしい日本語」のポイント

普通体より丁寧体を使用

外国人が日本語を学ぶ際、「です/ます(丁寧体)」から勉強を始めます。そのため、外国人労働者には「だ/である(普通体)」よりも「です/ます(丁寧体)」で話すほうが通じやすいです。特別な尊敬語(ご覧になります 等)や謙譲語(拝見します 等)は避け、簡潔な表現を心がけましょう。

例:

  • 「これ食べる?」「こちら召し上がりますか?」 → 「これを食べますか?」
  • 「あの資料は捨てていいよ」 → 「あの資料は捨ててもいいですよ」

漢語より和語を使用

初級学習者の場合、和語を中心とした語彙の方が理解しやすい傾向があります。一方で、ビジネスシーンでは無意識のうちに漢語を使用することが多いため、意識的に使う言葉を選ぶことが重要です。特によく使う漢語や専門用語については、無理に言い換えずに「在宅します、家で仕事をします。」といった形で補足説明を加えることで、相手の理解を助けると良いでしょう。

例:

  • 漢語「駐車する」→和語「車を停める」
  • 漢語「検討する」→和語「考える」

外来語を使わない

外来語は、「バス」や「コーヒー」のように、それ以外に適切な日本語がない場合にのみ使用するのが望ましいでしょう。外来語には、元の言葉と意味が異なるものが多く、誤解を招く恐れがあるため、注意が必要です。

例:

  • 「スキーム」 → 「仕組み」
  • 「コンセンサス」 → 「合意」

悩んだ際は、独立行政法人国立国語研究所が作成した『「外来語」言い換え提案』を参考にするとよいでしょう。参考:https://www2.ninjal.ac.jp/gairaigo/

「ので」「から」「ですが」などの接続詞を多用した長文は、日本語学習レベルが初級程度の外国人にはわかりにくい場合があります。そのため、一文を短く簡潔に伝えることで、理解が容易になります。また、3つ以上の内容を伝える際には、箇条書きを用いると正確に伝えられるでしょう。

例:

  • 明日の会議の準備として、資料作成して、人数分の資料を印刷した後、製本を行ってください。
  • →明日の会議準備/
     ・資料作成
     ・人数分印刷
     ・製本

社内導入のステップ

マニュアル・資料の見直し

職場で使用するマニュアルや資料の見直しも重要です。「やさしい日本語」を用い伝わる日本語に変更し、また、漢字にフリガナは忘れずに追記しましょう。この際、言語情報処理や日本語教育の専門家によって開発された、日本語の難易度を調べるツールを活用することをお勧めします。
参考: Reading Tutor – チュウ太の道具箱

このツールに文章を入力すると、語彙のレベルがJLPT(日本語能力試験)のN5(初級)からN1(上級)まで、レベル別に提示されます。

日本人スタッフへの研修

「やさしい日本語」を日本人スタッフに浸透させるためには、段階的な研修が効果的です。以下のプロセスをお勧めします。

  • 初期理解セミナー: やさしい日本語の基本概念やその重要性を説明し、スタッフの意識向上を図ります。
  • 実践ワークショップ: 実際の業務シーンを想定し、やさしい日本語での対応方法をロールプレイ形式で学びます。
  • フォローアップ研修: 定期的に研修を実施し、現場での課題や成功事例を共有します。

まとめ

「やさしい日本語」の技術的なポイントや導入ステップについては上記の通りですが、最も重要なのは、相手に伝えようとする思いやりの気持ちです。この姿勢こそが、「やさしい日本語」の真髄と言えるでしょう。

外国人労働者の日本語レベル向上を期待するだけでなく、雇用側も「やさしい日本語」の重要性をしっかり理解し、社員がその必要性を受け入れる体制を整えておくことが大切です。その結果、外国人材の最大限の価値を引き出すことができるはずです。

株式会社TCJグローバルでは、即戦力となる外国人材の育成に加え、日本人社員向けの異文化理解研修など、外国人労働者を円滑に受け入れるための社内体制構築のサポートも行っています。企業様のニーズに合わせた人材紹介を通じて、外国人社員の定着と活躍を多角的に支援しています。

外国人材の採用や定着に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

参考:https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/92484001.html

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部