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【学生インタビュー】海外からの視点で見る、日本の就職活動とは?

【学生インタビュー】海外からの視点で見る、日本の就職活動とは?

 日本の就職活動は、他国とは異なる特徴が多く、特に外国人学生にとっては戸惑いを感じる場面も少なくありません。今回は、2025年4月から日本での就職が決まった2名の学生にインタビューを行い、実際に感じた日本の就職活動の特長や、自国との違いについて語ってもらいました。彼らが日本の採用プロセスをどのように体験し、どんな学びを得たのか、またどのような点で驚きや発見があったのかをご紹介します。

 【インタビュー対象者】

・Kさん:国籍/中国、2023年10月東京中央日本語学院入学

・Bさん:国籍/中国、2023年7月東京中央日本語学院入学


日本での就職を決めた理由は?

B: 日本に来る前はアメリカで留学していました。最初は日本の大学院に入りたかったんですが、2024年冬に面接を受けていて結構難しかったんです。24年3月まではずっと大学院進学の準備をしていました。

アメリカや中国と日本の大学院では、勉強の形が違います。日本の大学院は研究が大事なので必ず自分が研究したい課題やテーマを持って大学院に入るという形です。でも、アメリカや中国では、大学では具体的なテーマはなく、いろんなことを勉強し、研究したいテーマも見つけていく。大学院に入る時点でずっと研究しているテーマがないので、「どうしてこういう研究をしたいか」という質問に対し、十分な返答ができませんでした。そういった面接を通じ、また日本では大学卒業後に就職する方も多いと聞き、直接就職活動した方がいいと感じました。

日本を選んだ理由は、同じ専攻の先輩が今多摩美術大学の修士で勉強していて、その話を聞いて私もやりたいと思いました。でも、そもそも日本アニメやゲームの文化が好きで、自分で日本語を勉強し、アメリカでN2を取りました。

K:私もいろいろ理由がありますが、一番大きな理由と考えると…私はずっと中国のインターネット会社で働いてましたので、残業がよくありました。私はもう少し休みが欲しかったので、他の国での就職を考えました。ですが、経済的なコストや永住ビザなど考えるとアジアの国がいいと思い、最終的に日本を選びました。

私は昔から日本のアニメなどにはそんなに興味を持っているといえないんですが、昔から日本のアイドルが好きなんです。日本語を勉強しながら、いろいろなところに推し活に行っています。

あと、日本のインターネット業界が中国の状態よりも少し遅い印象を持っています。ですから、自分の経験を生かして日本のインターネットの業界でも活躍うんできるかなと考えました。


就職活動を始めた時期や具体的な活動内容は?

B:2024年の4月から就職しようと思って、最初の半年はN1を取るためにずっと日本語のJLPT受験のための勉強をしました。(受験が終わった)7月ころから、履歴書や職務経歴書を作成して、8・9月から応募を始めました。

大学はデザイン専攻なので、最初はデザインの仕事に絞り応募しました。年末までには、面接は何社ありましたが、なかなか先に進めない状態で。その後は、国際業務や言語能力を生かす仕事など範囲を広げて応募しました。

デザイン系の仕事は40社ぐらいだと思います。業種を広げてからは、50社くらい応募しました。そして、面接はそれぞれ5社ずつ受けました。内定は2社もらいました。一つはデザイン関連、もう一つは海外への営業職です。就職することを決めた会社は、海外への営業職です。

K:私の就職の状況は少し特別かなと思います。私はもともと、TCJに入ったら、すぐに就職活動を始めたいと思っていました。同じように7月のJLPTのテストを受け、その後、就職活動を始めようと思った時に、以前の上司から連絡があり、仕事に誘われました。ただ、会社設立の手続きに時間がかかりそうで、在留資格を考えると少し不安でしたので、別の仕事を日本で探そうと決めました。

その頃、知り合いから、中国のIT企業を紹介してもらい、1週間ぐらいで書類審査・面接の流れは全部終わりました。そしてこの会社にと決めました。

実は昔から、私は中国国内の転職活動もほぼ知り合いからの紹介なんです。得意な分野で知り合いが推薦している会社の方がいいかなと思っています。結構中国ではそういった就職方法が主流です。


その会社への就職を決めた理由は?

B:初めての会社ですから、できるだけ大手の方がいいと考えました。最初の内定も、派遣でしたから、正社員である方が在留資格の面でも安心です。あとは、給料の面もあります。仕事を選ぶうえで重視する条件は、正直給料と専門知識が生かせることですね。

K:今までの経験が生かせることと給料です。仕事を選ぶうえで重視することはまずは給料です。その次に職場の雰囲気。風通しがいいか、健康に過ごせるか、ですね。


就職活動を通じて一番大変だったことは?

K:私は中国系の企業だったので、履歴書も中国語版で準備しました。ですので、実際の就職活動は大変ではありませんでした。ただ、TCJで日本語での就職活動の準備をしていた時は、専門用語が難しかったです。IT関連は新しい言葉が多いので、日本に来た後、同じ業界の日本人の友達に手伝ってもらい、専門用語リストを作りました。これがなければ、未来の仕事の現場でも、面接においても、具体的なことが話せないと思います。あとは、同じ業界でも会社によって使う用語が異なるので、それも大変ですね

B:特に私職務経験はないですから。職務経歴書をどのように記載すべきか等、TCJの先生に相談して準備しました。

あとは、英語版の履歴書はあるのですが、非常に自由なフォーマットなので、それを日本語版にするのも難しかったです。日本の履歴書には、必ず志望動機を書かなければならないので、それは少し難しいと感じました。企業によって変えなければならないので、結構時間がかかりますね。

K:中国では、その分野でどのような業務経験があるか、客観的な情報だけ書きます。最終面接で、その話題が出ることはあるかもしれないですが、中国の面接で一番大切なのは、昔の経験と自分の実績、スキルの話です。即戦力になるかどうか。

日本は入社すると研修がありますが、中国では、すぐ仕事がはじまる。即戦力を求めているんです。転職も多く、私も10年くらいで5回転職しています。WEB業界では、普通です。


面接で感じた自国との違いは?

B:大学院の面接も、就職の面接も、面接官の方がとても楽しく進めてくれます。でも反面、うまくいったかどうかが全く分かりません。

K:「君の日本語は上手だね!」「能力も問題ないですね」とかほめてくれて、話も盛り上がるんですが、結果はダメだったり。他のクラスの子も言っていました。

中国では、相手のしぐさからわかると思います。もう少し、はっきりと「少し難しいかも」ということも言われます。日本の方は絶対に笑顔でその気持ちを出さないと思いました。あとはルールも多いと感じます。私はどうしてもその点が難しいと感じ、中国の企業にしました。私は就職活動前に明るく髪色を変えましたが、「そのままでは日本の企業の方はあまりいい印象を持たない」と先生からアドバイスをもらいました。

 中国では、外見はそんなに重要ではありません。私にとって理解できないところは、日本の就職のルールに従って皆がそのルールに従うこと。営業の人なら、外見も重要なことだと思いますけど、でも例えばITエンジニア、仕事もリモートで家で行う場合、他の会社の人と会うこともないので、そこまで重視しなくてもいいと思います。日本はそういったマナーが厳しいと思いました。

B:私もパーマをかけていました。アメリカでの経験で、自分の個性を表すことは大事だと感じています。「会社が私を選ぶだけではなく、私もその会社を選ぶ」という考え方です。もし見た目が原因で不採用なら、その会社は私に合わないと感じています。

K:また、結果もメールで来るだけ、来ないこともあって少し悲しいです。中国の場合は、人事とチャットで連絡しているので、不合格の時や、何か質問があれば、簡単に聞くことができます。いろいろアドバイスをしてもらえると、次の面接に生かすこともできます。日本は全部Eメールでそのあと連絡できないです。


選考プロセスで感じた自国との違いは?

B:書類・一次二次面接という流れは同じです。アメリカでは、三年生の夏休みに行きたい会社にインターンにいきます。インターンは二か月くらい。終わるころ、いい業績が出たり、必要な人材であれば仮内定をもらえる。大学三年生の夏休みでもらい、卒業後そこで働けます。

K:中国も同じです。インターンの経験は重要です。同じ業界でのインターンの経験がなければ、大手の企業に入ることができません。大学の専門と同じ業界で探すことが多いです。

 私は三回の面接がありました。一回目は韓国人の方で日本語で話しました。二回目・三回目は中国人の方と、半分は日本語で大事なことは中国語で話をしました。中国の面接方法で、すべて具体的な職務に関する話・給料の話でした。とてもスムーズでした。

B:私の今後の仕事内容は大体決まっていて、2年間いろいろな勉強をして、2年後海外の勤務も選べるようになります。支社が全世界にあります。実際会社にはいったら、なにがあるかは全然わかりません。でも、面接の方も同じ業務内容だったので、8年くらいいろいろな支社で働いたそうです。キャリアパスのロールモデルがいてわかりやすかったですね。入社したら先輩になるので、一緒に話せてよかったです。


4月から始まる新しいステージで、さらに成長しご活躍されることを心より楽しみにしております。今後も、学生や卒業生へのインタビューを引き続きお届けしてまいりますので、ご注目いただければ幸いです。

TCJグローバルでは、日本語の口頭能力をしっかりとチェックし、企業様のニーズに合った求職者をご紹介いたします。また、企業様と求職者様の間で齟齬が生じやすい日本特有の就職文化において、双方に起こりうる誤解や不一致点を共有し、適切なサポートも行います。納得のいく外国人材採用を実現いたします。お気軽にお問合せください。

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部