特定技能人材の採用において、「どのような人材が自社で活躍できるのか」「面接では何を見極めるべきか」といった疑問を抱える採用担当者の方も多いのではないでしょうか。外国人材の採用は、日本人とは異なるポイントを押さえる必要があります。特に「特定技能」制度を活用する場合、日本語力や文化理解の度合い、在留資格の内容など、確認すべき点は多岐にわたります。
本記事では、履歴書の読み方や面接での質問のコツなど、特定技能人材の選考を行ううえで重要な実務ポイントを丁寧に解説します。これから特定技能人材の採用を検討している企業様にとって、実践的な知識となるよう構成しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。
履歴書をどのように読むのか
履歴書の体裁の違いを理解
特定技能人材の履歴書を見ると、日本の採用担当者から見て「不備がある」と感じることが時折あります。体裁が整っているに越したことはありませんが、まず前提として理解しておきたいのは、履歴書そのものの形式が国ごとに異なるという点です。
日本の履歴書は、海外と比較すると、写真の撮り方に細かい決まりがある、学歴・職歴は古い順に記載する等、独特のルールが多くあります。特に志望動機の欄については、海外ではカバーレターという形式で任意提出が主流であり、履歴書自体に記載する文化がありません。

このような違いを理解した上で評価することが大切です。形式の違いが見えることで、決して本人の能力不足とは限らないと認識できるようになります。
外国人が間違いやすい点を把握
日本語に不慣れな外国人が履歴書を作成する際、特定技能の受験レベル(多くはN3~N4相当)では、日本独自のルールに従って正確に記載するのはかなりの負担です。
たとえば「ふりがな」と「フリガナ」の使い分け、数字の全角・半角ルール、「入学・卒業」や「入社・退職」をセットで記載する点など、日本人にとっては当たり前のことでも、外国人にはわかりづらい要素ばかりです。
こちらは、個人情報など加工していますが実際にあった履歴書の例です。

こちらの履歴書には、氏名の「フリガナ」にひらがなが混在していたり、国籍が英語表記になっていたり、学歴や職歴が「入学・入社」のタイミングのみ記載されていたりと、修正が必要な点がいくつか見受けられます。ただし、こうした誤りに本人が一人で気づくことは非常に難しいといえるでしょう。
正しい体裁・ルールで記載できている履歴書からは、本人が日本語学校やエージェント機関の支援を受けている可能性、あるいは日本人と良好な人間関係を築き協力を得ている可能性がうかがえます。履歴書の整い具合から、人間関係や周囲の支援環境を推察することも一つの判断材料となります。
履歴書から日本語力を読む
また、履歴書の内容から、応募者の日本語力や学習状況を推測することも可能です。

こちらの履歴書からは、下記のことが読み取れます。
- 日本在住歴:5年半
- 技能実習2号を修了後、特定技能1号へ移行
- JLPT N3合格(600〜700時間の学習を要する)
- 就労しながら日本語学習を継続
- 現在、転職を検討中
そして、以下のことが推測されます。
- 特定技能として採用されていることから、最低限N4レベルの日本語口頭力はある(特定技能の取得要件)
- N3まで取得している=自主的な学習意欲がある
- 長期在住のため、生活日本語はある程度通じる可能性が高く、文化習慣にも慣れている可能性が高い。
面接で確認すべき事項
- 実際の口頭レベルがN3相当か
- 現在の学習方法や学習時間
- 転職理由(目的意識の有無)
仕事をしながらも、計画性を持って日本語学習に取り組んできたことが垣間見れるので、その詳細を確認できればと考えました。
このように、履歴書は単なる経歴の羅列ではなく、質問のヒントが詰まった資料といえるでしょう。
面接で何を聞くのか
ヒアリングするポイント
面接においては、以下の観点を意識することで、履歴書だけではわからない重要な情報を引き出すことができます。
①日本語の会話力
履歴書にN3やN4と書かれていても、実際の口頭能力とは差があることが多いため、会話を通してそのレベルを見極める必要があります。
②経歴の確認
履歴書に記載されている職歴が正確かどうか、時系列の確認を行うことが重要です。体裁が整っていない場合は特に注意が必要です。
③在留資格
在留資格の確認も忘れてはいけません。技能実習から特定技能への変更がなされている場合、資格の切り替え時期や内容が不明瞭なこともあります。面接で具体的に尋ねましょう。
④お給料・生活状況
給与に関する情報も重要です。給与や家賃、仕送り額などの生活状況は、転職理由にも直結していることがあります。生活に不安を抱えている場合は、長期的な定着が難しくなる可能性もあるため、丁寧なヒアリングが求められます。
ヒアリングする具体的な質問例
日本語能力があまり高くない特定技能人材に質問する際は、「前置きのない」「わかりやすい」表現がポイントです。日本語の敬語や婉曲表現は理解が難しいため、シンプルで直接的な言い回しを心がけましょう。
たとえば、「転職しようと思った理由を教えていただけませんか?」ではなく、「どうして仕事を変えたいですか?」のように、明快で短い言葉を使います。
確認項目別の簡潔や質問例はこちらです。
| 確認項目 | 質問例(簡潔な表現) |
|---|---|
| ①日本語レベル | 「自己紹介をお願いします」 |
| ②経歴の確認 | 「いつ日本に来ましたか」「どこで働きましたか」 |
| ③在留資格 | 「ビザは何ですか」「技能実習生ですか?」 |
| ④給与・生活状況 | 「給料はいくらほしいですか」「毎月、国にいくら送りたいですか。」 |
お給料など、たとえ少し踏み込んだ内容でも、相手の暮らしを理解し、定着支援を行うためには不可欠です。
このように、面接の目的は単なるスキル確認だけでなく、「この人が日本で安定して働けるか」「自社の職場環境に適応できそうか」を見極めるためにあります。生活や言語、在留資格など、複数の角度から総合的に判断することが求められます。
まとめ
特定技能人材の採用においては、履歴書の体裁や表現にとらわれすぎるのではなく、その背景にある文化や制度の違いを理解する姿勢が求められます。履歴書からは、本人の日本語学習への取り組みやサポート体制、さらには人間関係の構築力など、多くのことを読み取ることが可能です。
また、面接では書類では把握できない日本語の実践力や生活状況を丁寧に確認する必要があります。質問の際は、わかりやすく短い文で、敬語を避けて直接的に聞くことが、特定技能人材とのコミュニケーションにおいて非常に効果的です。これらのポイントは、特定技能だけでなく、技術・人文知識・国際業務などの在留資格を持つ人材の採用にも応用可能です。外国人材を受け入れる企業として、より深い理解と柔軟な対応力を持つことが、採用成功と定着率向上につながります。
株式会社TCJグローバルでは、外国人材の採用から定着支援までを一貫してサポートしています。日本語教育やビジネスマナー研修を通じて、外国人社員が職場で円滑に活躍できるよう支援するとともに、日本人社員向けの異文化理解研修も提供しています。即戦力となる人材の紹介はもちろん、社内体制づくりまでお手伝いしますので、外国人採用でお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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国籍:ベトナム・ネパール
業種:外食、介護