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外国人社員に不可欠な7つの日本語能力とは?BJTビジネス日本語能力テスト【後編】

外国人社員に不可欠な7つの日本語能力とは?BJTビジネス日本語能力テスト【後編】

外国人社員の採用が増える中、ビジネスに必要な日本語力をどのように測るのか、また伸ばしていくのかについて考えている人事担当者は少なくないことでしょう。前回の記事では、BJTビジネス日本語能力テストの概要とJLPTとの違いを解説しましたが、本記事では、人事担当者が BJTを知るべき理由と、BJTを活用して向上させることができる「7つのビジネス日本語能力」について詳しく紹介します。

なぜ人事が知るべき?

①  出入国在留管理庁が日本語能力の証明基準として認めている

申請する在留資格によりますが、BJTのスコアを以下のケースで活用できます。

  • 「在留資格認定証明書交付申請」…日本語能力の証明として明記可能。
    (300点以上でJLPTのN5以上に相当)
  • 日本の大学等を卒業した外国人の就職支援に関わる『特定活動』の要件に認定。
    480点以上でJLPTのN1と同等)
  • 「高度人材ポイント制」…スコアに応じたポイント付与が可能。
    (480点以上で15ポイント、400点以上で10ポイント)

② 採用時にビジネス日本語力がはかれる

JLPTではN1レベルであっても、実際のビジネスシーンで日本語を正しく使えるとは限りません。一方、BJTは「ビジネスにおけるコミュニケーション能力」を測る試験であるため、実務レベルの日本語力を正しく評価する指標となります。

ただし、会話する力や文を書く力そのものは測れませんので、企業独自の試験が必要となります。具体的なチェック方法についてはこちら>日本語能力試験(JLPT)だけでは危険!人事が知るべき「日本語力の見極め方」

③ 採用後の育成に活用できる

外国人社員が入社後にビジネス日本語を伸ばすことは、職場の円滑なコミュニケーションに不可欠です。ですが現実は日々の業務に追われ、日本語能力向上にフォーカスして教育を行うことはなかなか難しいのではないでしょうか。そういった場合は、個別のオンラインレッスン等でBJTの試験対策を行いながら、定期的に受験する機会を設けることで、業務と並行しながらでも、ビジネス日本語力を向上させることができるでしょう。

BJTで伸ばしたい7つのビジネス日本語力

「外国人社員の日本語力」といっても、そもそも何をさすのでしょうか。BJTではビジネスで必要な日本語の能力を7つに分類しています。この分類は、人事が外国人社員の日本語力を具体的に把握する際にも役立つ視点です。

能力① 場面・状況を認識する力

ビジネス現場で繰り広げられる会話の背景や状況を正しく理解する力です。

例えば、会議で上司が「あの件、進捗どう?」と言った場合、「どの案件のことを指しているかわかり、今、その報告が求められている」と理解する力です。

能力② 情報の意味・意図を読み取る力

単なる日本語の理解ではなく、話し手の意図やニュアンスを正しく把握する力です。

例えば、お客様から「少し考えさせてください」と言われた場合、文字通り、考えたいのではなく「実質的にお断りの可能性が高い」というニュアンスを察知する能力です。

能力③ 課題に合った対応力

相手の発言をもとに、適切な解決策を提示する能力です。

例えば、取引先から「この納期では厳しいです」と言われた際に「では、部分納品で対応するのはいかがでしょうか?」と代替案を提示できる能力です。

能力④ ビジネス文書にかかわる処理能力

Eメールや報告書などのビジネス文書を理解したり処理したりする能力です。(ただしBJTでは、具体的に書く能力を測る試験項目はありません。)

例えば、社内メールで「至急対応してください」とあった場合、「至急」のレベルを判断し、優先順位をあげて対応する能力です。

能力⑤ 言語の基礎力

敬語表現を含む日本語の基本的な文法や語彙の力です。

例えば、「言います」の敬語表現である「申します」と「おっしゃいます」の違いを理解し、適切に使える能力です。

能力⑥ 未知の語句に対する処理能力

実際の職場で飛び交う未知の単語や専門用語に対応できる能力です。

例えば、商談中に初めて「ROI」という単語が出てきたときに、文脈からその意味を推測し、対応できる能力です。

能力⑦ 日本的商習慣への異文化調整能力

日本のビジネスマナーや慣習に適応できる力です。

例えば、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」の重要性を理解した上で、タスクが完了した際に、自ら適切な形で報告できるような能力です。

※各能力に関する例はBJTが公式に発表しているものではなく筆者によるものです。

※公式ホームページ:https://www.kanken.or.jp/bjt/

まとめ

BJTビジネス日本語能力テストは、外国人社員の採用時はもちろん、育成時にも、ビジネスで必要な日本語力を適切に測る上で、非常に役立つツールです。また「7つの能力」という視点から外国人社員の現状を把握してみると、自ずと何を伸ばすべきかも見えてくるのではないでしょうか。

株式会社TCJグローバルでは、日本語能力の高い即戦力となる外国人材の育成・紹介に力を入れています。また、日本語教育やビジネスマナー研修を提供し、外国人社員がスムーズに職場に適応できるようサポートします。企業様のニーズに応じた人材紹介を行い、外国人社員の採用~活躍までを幅広くサポートします。外国人材の採用や定着に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

≪こちらの記事もチェック≫外国人採用&育成に!人事が知るべきBJTビジネス日本語能力テストとは【前編】

著者紹介:福田 祥子(日本語教師・ライター)
大手教育系企業で英語講師養成トレーナーとしてキャリアをスタートし、その後広報職に転身。企業内ライターとして新聞コラムや書籍等の執筆を担当。語学好きが高じ、2020年より日本語教師として活動を開始。2022年のスペイン移住後は現地の日本語学校で教鞭を執るほか、TCJプライベート講師や日本語試験問題作成員、執筆業に従事。日本語教師養成講座420時間修了、日本語教育能力検定試験合格。

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記事を書いた人

福田祥子