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外国人採用&育成に!人事が知るべきBJTビジネス日本語能力テストとは【前編】

外国人採用&育成に!人事が知るべきBJTビジネス日本語能力テストとは【前編】

近年、日本国内では労働力不足が深刻化しており、外国人社員の採用・育成が急務となっています。しかし採用時はもちろん、採用後の社員の日本語教育について、頭を抱える人事担当者も少なくありません。この記事では、人事担当者の課題を解決する手段として注目される「BJTビジネス日本語能力テスト(Business Japanese Proficiency Test)」について、その基本情報や日本語能力試験(JLPT)との違いについて詳しく解説します。

BJTビジネス日本語能力テストとは

BJTビジネス日本語能力テストは、日本でのビジネスシーンにおける日本語の運用能力を測定する試験です。一般的によく知られている日本語能力試験(JLPT)とは異なり、ビジネスに特化して、実践的な日本語スキルを評価することを目的としています。そのため、即戦力を求める採用担当者、ビジネス現場での日本語力測定を考える育成担当者にとって、活用のしがいがある試験だと言えるでしょう。

■ 試験内容

BJTの試験は、3つの部門から構成されています。契約書やクレーム対応、出張報告書まで、リアルなビジネス現場でのトピックを扱っています。

●      聴解部門(聞き取る力)約45分:

1. 場面把握問題…ビジネス現場によくある写真を見て、その場面を描写した音声を選びます。

2.  発言聴解問題…ビジネス現場によくある写真を見て、その場面で日本人がする発言を選びます。

3.  総合聴解問題…イラストを見ながら、ビジネス会話を聞き、その内容に適した音声を選びます。

●      聴読解部門(聞き取る力・読み取る力)約30分:

1. 状況把握問題…ビジネス現場によくある写真を見ながら、会話を聞き、その状況に応じた選択肢を選びます。

2.  資料聴読解問題…グラフや広告などの資料を見ながら、音声を聞き、適切な選択肢を選びます。

3.  総合聴読解問題…資料を見ながら、少し長い音声と質問文を聞き、適切なものを選びます。

●      読解部門(読み取る力)30分:

1.  語彙・文法問題…穴埋め問題。ビジネスシーンで使う語彙や文法を選びます。

2.  表現読解問題…穴埋め問題。ビジネスシーンで使う表現を選びます。

3.  総合読解問題…メールや報告書など、少し長い文章を読んだあと、質問に対する答えを選びます。

公式ホームページのサンプル問題はこちら https://www.kanken.or.jp/bjt/about/level_sample.html

BJTビジネス日本語能力テストとJLPTの違い

① ビジネスに特化

JLPTは日常会話を含めた一般的な日本語の運用能力を測る試験ですが、BJTはビジネスシーンでの日本語力に特化しています。敬語の使い方やビジネスメールの読解、商談での発言の適切さなど、実務に直結する能力が問われます。

② いつでも、何度でも受験できる

JLPTは年に2回(7月・12月)しか実施されず、受験できるタイミングが限られています。一方、 BJTは全国の指定会場で、随時受験可能であるため、採用活動や社員の育成スケジュールに合わせやすいのがメリットです。(ただし一度受験すると、次回の受験まで3ヶ月あける必要があります。)

③ 試験結果がすぐわかる

JLPTは合格か不合格を判定し、結果通知まで約2ヶ月かかります。一方、BJTは会場にあるコンピューターで受験し、試験終了後すぐに結果を確認することができます。そのため、社員のスキル評価を迅速に行え、採用ステップにも組みいれやすいと言えるでしょう。

④ 級ではなくスコアで判断

JLPTはN1〜N5の5段階の合否判定で、受験級を選んで受験します。一方、BJTは級を選んで受験する必要がなく、0〜800点のスコアと、点数に応じたJ5〜J1+の6段階のレベルで評価されます。そのため、採用時に日本語力を数値で的確に把握できるだけでなく、入社後に定期的に受験機会を設ければ、学習のモチベーションアップにも活用できるでしょう。

J1+600点〜800点どのようなビジネス場面でも日本語による十分なコミュニケーション能力がある。
J1530点〜599点幅広いビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。
J2420~529点限られたビジネス場面で日本語による適切なコミュニケーション能力がある。
J3320~419点限られたビジネス場面で日本語によるある程度のコミュニケーション能力がある。
J4200~319点限られたビジネス場面で日本語による最低限のコミュニケーション能カがある。
J50~199点日本語によるビジネスコミュニケーション能力はほとんどない。

なお、JLPTの級との比較は単純にはできず、仮にJLPTでN1取得者であっても、ビジネスシーンでの日本語力が不足している場合は、J3やJ2といった評価になることも考えられます。

まとめ

BJTビジネス日本語能力テストは、JLPTでは測りにくい外国人社員のビジネス日本語力を測る上で非常に有用な試験です。現在、採用時の日本語能力の測定や入社後の育成に課題を感じている担当者は、検討してみる価値があるでしょう。次回の記事では、BJTで測れる7つの日本語能力について、具体的にお伝えします。

株式会社TCJグローバルでは、日本語スピーキング力の高い即戦力となる外国人材の育成・紹介に力を入れています。

日本語教育やビジネスマナー研修を提供し、外国人社員がスムーズに職場に適応できるようサポートします。外国人材の採用や定着に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

≪こちらの記事もチェック≫外国人社員に不可欠な7つの日本語能力とは?BJTビジネス日本語能力テスト【後編】

著者紹介:福田 祥子(日本語教師・ライター)
大手教育系企業で英語講師養成トレーナーとしてキャリアをスタートし、その後広報職に転身。企業内ライターとして新聞コラムや書籍等の執筆を担当。語学好きが高じ、2020年より日本語教師として活動を開始。2022年のスペイン移住後は現地の日本語学校で教鞭を執るほか、TCJプライベート講師や日本語試験問題作成員、執筆業に従事。日本語教師養成講座420時間修了、日本語教育能力検定試験合格。

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部