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フィリピン人介護人材の採用ガイド|特徴・メリットから必須手続きまで徹底解説

フィリピン人介護人材の採用ガイド|特徴・メリットから必須手続きまで徹底解説

候補者は見つかったのに、在留資格の選び方とフィリピン側の手続きを後回しにしたせいで、入社日だけがずれていく。この流れは介護採用で珍しくありません。

フィリピン人材は介護との相性がよい国籍として知られていますが、どの制度で受け入れるか、どこまでを自施設で準備するかで難しさが変わります。文化の相性だけで話を進めると、書類と現場の両方で止まります。

ここでは、フィリピン人介護採用を検討する施設向けに、向いている職場の見分け方、4制度の違い、MWOとDMWを含む手続き、採用前に切るべき判断軸までを実務順にまとめました。

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監修者 徳田淳子
監修者

登録日本語教員・国家資格キャリアコンサルタント

徳田 淳子

国際交流基金「EPAに基づく日本語予備教育事業」に日本語教師としてインドネシア派遣。外国人政策情報発信プラットフォーム「にほんごぷらっと」編集広報担当。日本語教育隣接領域における研修を主催する「ことばと学びでつながるなかまの会」「ももの会」創設メンバー。国内MBA取得。

フィリピン人介護人材が採用候補に入る理由

フィリピン人材は、介護現場で必要になる対人対応、海外就労への心理的なハードルの低さ、日本語学習の下地をあわせ持つため、介護施設が候補に挙げやすい国籍の一つです。最初に押さえるべきなのは、相性のよさを感覚で語るのではなく、採用対象としてどこが強く、どこで止まりやすいかを分けて見ることです。

日本で働くフィリピン人は24.5万人

厚生労働省の2024年10月末時点の集計では、日本で働くフィリピン人労働者は245,565人で、外国人労働者全体の10.7%を占めています。介護だけの数字ではありませんが、フィリピン人材が日本で働くこと自体は特別な選択肢ではなく、すでに大きな母集団があると見てよいです。

国籍 労働者数 構成比
ベトナム 570,708人 24.8%
中国 408,805人 17.8%
フィリピン 245,565人 10.7%

出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)

介護と相性がよい3つの背景

フィリピン人材が介護採用で候補に入りやすいのは、単に明るいからではありません。仕事観と生活背景を分けて見ると、介護現場との噛み合いどころが見えてきます。

  • 高齢者への敬意が会話に出やすい 家族とのつながりを大切にする文化があり、利用者との距離の取り方が柔らかい人が多いです。初対面の利用者に対しても、表情と声かけで関係をつくりやすい傾向があります。
  • 英語での学習経験がある 公用語に英語があるため、介護記録の考え方や業務説明を段階的に覚える下地があります。日本語が十分でない初期でも、教育の経路を組み立てやすい点は大きいです。
  • 海外就労の前例が多い 海外で働くこと自体に家族の理解があり、日本で働く選択を特別視しにくいです。採用担当者から見ると、渡航と定着の話を現実的な温度で進めやすくなります。

向いている施設と止まりやすい施設

正直なところ、フィリピン人介護採用の成否は国籍選びより、受け入れる施設側の運用で決まる場面が多いです。相性のよい施設かどうかは、採用条件より日々の指示設計に出ます。

向いている施設 止まりやすい施設
業務分担が明文化され、誰に何を報告するかが決まっている 指示が口頭中心で、その場の空気で動くことを求める
受け入れ初日の担当者と生活案内の段取りが決まっている 着任日だけ決めて、住居や生活説明を後回しにする
面接で報告会話や業務理解まで確認する 人柄だけで採用を決め、報告の型を見ない

在留資格は4ルート 迷ったら採用目的から選ぶ

フィリピン人介護採用で迷う理由の大半は、制度の数が多いことより、採用目的と制度をつなげていないことです。欠員補充を急ぐのか、長期雇用の核を育てたいのかで、選ぶルートは変わります。

4制度の比較表

ルート 強み 注意点 向く施設
特定技能1号 試験要件が明確で、即戦力採用に寄せやすい フィリピン側手続きが増える。試験合格だけで現場会話まで担保されません 早く欠員を埋めたい施設
在留資格「介護」 介護福祉士資格を前提に長期雇用へつなげやすい 候補者母数は狭く、採用難度は上がります 将来の中核人材を取りたい施設
EPA 公的枠組みで研修が厚く、制度の安心感がある 募集時期が固定され、着任まで時間がかかります 育成前提で腰を据えて受け入れる施設
技能実習 育成型で運用を組みやすい 制度目的が人材確保ではなく技能移転に置かれており、制度移行も見ています 監理団体と育成計画を前提に進める施設

特定技能1号は即戦力採用向き

早く欠員を埋めたい施設に最も合うのは特定技能1号です。厚生労働省の介護分野ページでは、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、国際交流基金日本語基礎テストまたはJLPT N4以上が要件として整理されています。採用担当者にとっては、候補者の状態を試験基準で横並びに確認しやすいルートと見てください。

ただし、ここで勘違いしやすいのは、試験合格と現場報告の精度が同じではない点です。移乗、見守り、申し送り、夜間帯の急変報告など、介護現場の会話は試験問題より速く、文脈も濃くなります。書類上の合格だけで配属先を決めると、配属後は日本人職員の言い換えが続きかねません。

出典:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」

在留資格「介護」は長期雇用向き

長く働く前提で採るなら、在留資格「介護」は魅力があります。介護福祉士資格を持つ人材を前提にするため、夜勤や現場判断まで任せる設計を組みやすく、更新制限のない雇用に寄せられます。

一方で、候補者母数は広くありません。短期で人数をそろえるより、採用数は少なくても中核候補を取りたい施設に向くルートです。

EPAは公的枠組みで育成するルート

EPAは、国の枠組みで日本語研修と導入研修が厚く組まれている点が強みです。JICWELSの2026年度パンフレットでは、フィリピン人介護福祉士候補者は6か月の訪日前日本語研修、さらに6か月の訪日後日本語研修と介護導入研修を経てから就労研修に入る流れになっています。

採用担当者から見ると、着任時点での基礎研修の到達点が読み取りやすい反面、募集タイミングと受け入れ時期が固定されやすいです。今月中に人が欲しい施設より、来年度計画の中で受け入れを組む施設に向きます。

出典:JICWELS 2026年度版 EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者受入れパンフレット

技能実習は育成前提で見る

技能実習は、最初から即戦力を求めるルートではありません。現場で育てる前提で運用を組む制度なので、監理団体との役割分担、指導担当者の配置、育成記録まで見通して進める必要があります。

特定技能とどちらが良いかで迷ったときは、採用の急ぎ度合いと、現場が育成時間を確保できるかで切る方が早いです。今の欠員を埋めたいなら特定技能、育成の枠組みを回せるなら技能実習という見方の方が実務に合います。

フィリピン人介護採用の手続き5ステップ

採用を進める順番は、候補者探しからではなく、制度決定からです。制度が先に決まっていれば、フィリピン側で追加になる書類と日本側の申請順序を逆算できます。

  • ステップ1 まず任せる業務を切り、特定技能、在留資格「介護」、EPA、技能実習のどれで採るか決めてください。
  • ステップ2 候補者の居住地、資格、日本語レベルを確認し、紹介会社、送り出し機関、JICWELSなどルートごとの窓口を定めます。
  • ステップ3 フィリピン国籍の方を特定技能で受け入れる場合は、送出機関との募集取決め、MWO申請、DMW登録の対象かを早めに洗い出してください。
  • ステップ4 雇用条件を日本語だけでなく、本人が誤解しない言語で確認し、在留資格関連の申請に入ります。
  • ステップ5 着任日までに、住居、生活案内、初日オリエンテーション、メンター、日本語支援まで固めておきます。

手続きで止まりやすいのは特定技能のフィリピン側書類

フィリピン国籍の方を特定技能で受け入れる場合は、日本側の在留資格申請だけを見ていても足りません。MWO Tokyoの案内では、フィリピン政府認定の送出機関との募集取決め、MWOへの申請、DMWへの登録が必要で、これらを経ないまま雇用契約を結ぶことは認められていないと整理されています。

しかもこの扱いは、フィリピンから新たに来る候補者だけではなく、日本に在留しているフィリピン国籍の方を特定技能で受け入れる場合でも同じです。ここを知らずに担当者が先に内定通知を出すと、あとから書類順序を組み直すことになります。

止まりやすい場面:入社日だけ先に決める

よくある状況

候補者の面接が良く、施設側が先に着任日を内々に固めてしまう。あとから送出機関との契約、英訳付きの登記書類、MWO手続きが必要だと分かり、予定が崩れます。

原因

日本側の在留資格だけを見て、フィリピン側の制度を同時に確認していないことです。

回避方法

  • ・ 候補者面接の前に、どのルートかを施設内で確定する
  • ・ フィリピン国籍の特定技能候補者は、MWO対象かを先に確認する
  • ・ 入社日ではなく、書類完了の見込み日から逆算して着任計画を引く

MWO Tokyoの同ページでは、Verification Process の処理目安を10〜15営業日と案内しています。これはMWO単体の処理時間であり、その前後に送出機関とのやりとりや日本側の在留資格申請が乗るため、実際の採用計画はもう少し余裕を見た方が安全です。

出典:MWO Tokyo「SPECIFIED SKILLED WORKERS 1&2」

着任時期は4か月から8か月を見込む

採用期間は制度で変わります。TCJの支援実務では、書類差し戻しがない前提でも、特定技能の海外採用は4か月から6か月、EPAは募集枠の都合も含めて6か月以上を見ることが多いです。国内在住者の在留資格変更だけで進む案件でも、面接から配属まで2か月前後は見ておく方が現実的です。

ルート 実務上の期間目安 止まりやすい点
特定技能 海外採用 4〜6か月 MWO・DMW関連書類、雇用条件の英訳確認
特定技能 国内在住者 2〜4か月 転職時期の調整、同じくフィリピン側手続きの確認
EPA 6か月以上 募集スケジュールが固定されやすい
技能実習 5〜8か月 監理団体との調整、育成計画の整備

着任後の初月運営まで見直したい場合は、受け入れ・定着の成功法則でオンボーディングの設計を確認できます。

採用前に確認すべき5つの判断軸

採用後のミスマッチは、面接で人柄を外したときより、採用前の確認項目を切っていないときに起きがちです。確認する順番を決めておくと、社内説明も早まります。

  • 1. 任せる業務が制度に合っているか 生活介助中心なのか、夜勤や将来のリーダー候補まで見るのかで、選ぶ制度は変わります。
  • 2. 面接で報告会話まで見ているか 試験スコアだけでは足りません。利用者の状態変化をどう報告するかまで聞く方が現場に近いです。
  • 3. 生活支援の担当者が決まっているか 住居、役所、銀行、携帯、通勤経路を誰が案内するか決めていないと、初週の離脱率が上がります。
  • 4. 家族事情と休暇設計を話せるか 送金、家族イベント、長期休暇の取り方を採用前に話しておかないと、後で認識差が出ます。
  • 5. 着任後の日本語支援を切っていないか 試験合格がある候補者でも、介護記録と現場会話は別です。入社後の学習機会まで組んでおく必要があります。

面接で見るべきなのは、流暢さそのものより、報告の順番です。誰が、いつ、どこで、何をしたかを短く話せるか。ここが整っていれば、現場指導で伸ばせます。逆に、雑談は上手でも報告が崩れる候補者は、夜勤帯や申し送りで苦労しかねません。

日本語教育37年のTCJでは、介護分野の候補者に対して、現場で使う語彙まで寄せた日本語確認を行っています。試験合格の有無だけで切るより、入社後に何を補えば現場に乗るかまで見た方が、採用判断は現実的です。

受け入れ前チェックリスト

着任前にこの8項目が埋まっていれば、採用後の混乱はかなり減らせます。逆に、ここが空欄のまま走ると、採用担当者が深夜に書類と現場電話の両方を抱えることになりかねません。

  • ・ 制度と任せる業務が一致している
  • ・ 紹介会社、送出機関、JICWELSなど窓口が一本化されている
  • ・ フィリピン国籍の特定技能候補者かどうかを確認し、MWO対象か判断済み
  • ・ 雇用条件を本人が理解できる言語で確認済み
  • ・ 住居、通勤、生活案内の担当者が決まっている
  • ・ 初日オリエンテーションの内容が決まっている
  • ・ メンターか相談窓口を配置している
  • ・ 着任後6か月の日本語支援かOJT設計がある

就労前研修の詳しい中身まで見たい担当者は、採用主記事で抱え込まず、研修記事に分けて読む方が整理できます。採用判断と就労前教育を同じ記事で追うと、どちらも中途半端になりがちです。

よくある質問

Q1. フィリピン人介護採用は特定技能が最優先ですか?

A. 早く人数をそろえたい施設では特定技能が第一候補になりやすいです。ただし、長く働く中核人材を取りたいなら在留資格「介護」やEPAの方が合う場面もあります。制度の名前ではなく、欠員補充か長期育成かで切る方が判断しやすくなります。

Q2. フィリピン国籍の候補者と先に直接契約できますか?

A. 特定技能で受け入れる場合は、その考え方は危険です。MWO Tokyoの案内では、送出機関との募集取決め、MWO申請、DMW登録を経ないまま雇用契約を結ぶことは認められていないと整理されています。

Q3. EPAと特定技能のどちらを選ぶべきですか?

A. 今年の欠員を埋めたいなら特定技能、計画的に育てたいならEPAです。EPAは訪日前後の研修が厚い反面、スケジュールの自由度は低くなります。急ぎ度合いと現場の育成余力で選んでください。

Q4. 面接で最も見た方がよい点は何ですか?

A. 報告の順番です。利用者の状態変化、転倒リスク、申し送り事項を、誰にどう伝えるかを日本語で聞くと、現場に乗るかどうかが見えやすくなります。雑談の上手さだけで決めない方が安全です。

Q5. 採用から着任まではどれくらいかかりますか?

A. 特定技能の海外採用で4か月から6か月、国内在住者なら2か月から4か月、EPAなら6か月以上を見ることが多いです。書類差し戻しや雇用条件の確認で伸びるため、入社日から逆算するより、書類完了の見込みから逆算して見てください。

Q6. 着任前にどこまで教育を準備すべきですか?

A. 少なくとも初日の生活案内、業務用語、報告の型、相談窓口は着任前に決めてください。就労前研修の詳細は別記事で深掘りしていますが、採用段階で教育担当者と初週の段取りを決めておくことが、離脱防止に直結します。

まとめ

フィリピン人介護採用で外しやすいのは、国籍の見立てではなく、制度の選び方と受け入れ順序です。欠員補充を急ぐなら特定技能、長期雇用なら在留資格「介護」、公的枠組みで育てるならEPAという軸を先に持つだけで、採用判断はかなり整理できます。

フィリピン国籍の方を特定技能で受け入れる場合は、送出機関との募集取決め、MWO申請、DMW登録まで含めて計画しないと、採用日程は崩れます。採用前に見るべきなのは、制度、期間、報告会話、生活支援、日本語支援の5点です。ここが固まれば、現場は着任後に慌てずに済みます。

制度選定から日本語教育まで一気に設計したい場合は、採用計画の段階で外部の伴走を入れる方が早いです。書類と教育を別々に考えないことが、介護採用の後戻りを減らします。

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記事を書いた人

外国人材TIME編集部