近年、日本のIT業界ではエンジニア不足が深刻化しており、外国人エンジニアの採用が急増しています。企業が優秀な人材を確保し、長期的に活躍してもらうためには、適切な採用基準や育成方法を整えることが不可欠です。本記事では、外国人エンジニアの採用時に確認すべきポイントと、定着率を向上させるための実践的なアドバイスを紹介します。
外国人エンジニア採用時にチェックすべきポイント
必要な日本語レベル
N5~N2以上※業務内容によって異なります。
- 社内開発や外国人比率の高い職場では、プログラミングスキルが優先され、英語のみで対応可能な場合も多い。ただし、基本的な社内コミュニケーションのためにN5レベルの日本語力が望ましい。
- 顧客対応やプロジェクトマネジメントを含む業務:クライアントとの円滑なコミュニケーションが求められるため、N2以上の日本語力が望ましい。
技術スキルと実務経験の評価
学歴だけではなく、実際にどのようなプロジェクトに関わったか、どのプログラミング言語やフレームワークを扱えるかを具体的に確認しましょう。特に、GitHubの公開リポジトリやポートフォリオをチェックし、技術力を可視化することが重要です。
文化・チームワークへの適応力
外国人エンジニアの多くは、日本の「報・連・相(報告・連絡・相談)」の文化に慣れていません。採用時には、チームでの協力姿勢や課題解決へのアプローチを見極めるために、ケーススタディ形式の面接を実施するのが有効です。
長期的なキャリアプランの共有
エンジニアのキャリアゴールを確認し、企業側がどのようなスキルアップ支援を提供できるかを明確にしましょう。外国人エンジニアにとって、技術研修や日本語研修の有無は定着率に大きく影響します。
外国人エンジニアの育成と定着率向上のための施策
1.多言語対応のドキュメント整備
技術仕様書や開発マニュアルを英語と日本語の両方で用意し、外国人エンジニアがスムーズに業務に入れる環境を整えましょう。また、社内のSlackやドキュメントツールを活用し、チーム全体で知識共有を促進することが大切です。
2.定期的なフィードバックとキャリア支援
定期的な1on1ミーティングを実施し、業務の進捗や困っていることをヒアリングすることで、定着率を向上させることができます。「どのような技術を伸ばしたいか」「どのポジションを目指したいか」を把握し、それに応じた教育プログラムを提供することが重要です。
3.ビジネスマナーと職場文化の研修
外国人エンジニアが職場で円滑にコミュニケーションを取れるようにするため、日本のビジネスマナー研修を提供しましょう。例えば、
- メールやSlackでの適切な表現
- 日本企業特有の意思決定プロセス
- クライアント対応の基本マナー などを事前に学ぶことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
4.在宅ワークの増加と注意点
近年、日本ではエンジニア職において在宅ワークの導入が進んでいます。外国人エンジニアがリモート環境で円滑に業務を進めるためには、以下の点に注意が必要です。
- リモートワークでは対面でのやり取りが減るため、定期的なオンラインミーティングの実施や、チャットツールを活用したリアルタイムでの情報共有を促進する必要があります。そのために、社内でコアタイムを定めるのも良いでしょう。
- セキュリティ対策の徹底:在宅勤務では情報漏洩のリスクが高まるため、機密情報を取り扱う場合は、セキュリティ研修の実施も検討しましょう。
まとめ
外国人エンジニアの採用・育成を成功させるためには、技術力だけでなく、文化的適応やキャリア支援を重視することが不可欠です。単なる短期採用ではなく、長期的に活躍できる環境を整えることで、企業の競争力向上にもつながります。
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著者紹介:平良 園佳(日本語教師)
日本で活躍する外国人向けに、初級からビジネス日本語まで対応したレッスンを通じて、実践的な日本語スキル習得をサポートしている。